思考を伴う物語作りが、作品の良さを底上げする6

現世と異界の狭間からこんにちは。体の半分イマジナリー、貴方の心をインソムニア。本日も夢か現かも定まらぬ中、否が応にも筆を執り、幸か不幸か作品作りに従事していきましょう。

 さて今回も謎を仕掛ける側として、色々と考えて行きましょう。今回は本格推理の入門を少々、深淵なる思考の深海へと足先でも突っ込んでみましょうか。

 本格的な推理とは言っても、論理的な思考を積み重ねればそれなりの形の構成は出来ます。大抵は殺人事件を取り扱うので、まずはそこからやってみましょう。やはり第一に考えるべきは死体発見の瞬間ですよね。壮大な舞台の上で、ピアノ伴奏で役者がうたうクライマックス、不意に証明が落ちてスポットライトが舞台の虚空に当たり……天井から死体がずるりと吊るされる。あるいは曰く付きの伝承のある山村で、行方不明になった仲間を探しふすまを開けた瞬間、其処には夥しい血と無雑作に転がる女将の死体。夏休みに偶然行われた肝試し、夜の学校、アクシデントで皆が学校内に散り散りに、そして最後の見つからない二人を探していると、探していた彼女が屋上からドサッと降ってくる……。

 みんなそれぞれ、沸き立つ推理物のシチュエーションがあると思います。まずはそういう書きたい場所や状況や雰囲気を練り込むのです。犯人とかトリックとか探偵とかはこの際まずは置いておきましょう。書いてみたい場面や死体演出が思いついたら、次はどうしてそうなったかを考えていきます。人が死んだ状況と言うのは基本的にそうならざるを得なかったからです。意味も無く死体を演出するのはホラーのやる事です。推理においては考えついた場面から、どうして犯人がそういった演出をする必要に迫られたかを考察します。

 人を殺すのに、人目につくところを選ぶ人はまずいません。まして殺した死体を人目に晒すなんて普通はしない事でしょう。故に推理物の演出はインパクトがあるのですが、逆に犯人は何故その様な事をしたかが推理要素となります。舞台公演の最中に死体が出てきたのは、まず容疑者が舞台の裏方や関係者で公演中だからこそ自由に動けた、或いは公演中ならばアリバイが立証できる状態だった。死体をわざわざ衆目に晒したのは、死体を隠蔽して後々に発見されてはまずいから、警察に関係を探られるとまずい事情があるか、あるいは公演中に晒してこそ逃げ切れる状況だったか。まぁさらには普通はそう考えると予想してさらに裏をかく目的があったのか等々。上から吊るしたのは高所で殺害して移動が難しかったので、あえて吊るす事で演出としたなどの考察が生まれてくると思います。

 他にも状況を必然と考えて行けば、色々な推理物が造りやすくなります。美術館に回答から宝飾品の美術品を盗むと予告場が届き、その当日増員された警備や警官、そしてその様子を見に来たテレビ局や観客が大量に美術館に押し寄せる事に成った。何故怪盗はわざわざ予告場を出して警備を厳重にしたのか? これも必然性で考えれば色々と考察の余地が出てきます。そもそも美術館は厳重な警備が敷かれていて簡単に宝飾品は盗み出せなかった。しかし予告場を出す事で、監視カメラなどの設備が増設され、警備員も増員、美術品も一度チェックが入りと外部の業者が絡む余地が増えます。その隙をついて怪盗側が仲間を紛れ込ませたり、警備に細工をしたり、美術品を本物とすり替えるなどの隙が生じるのです。あえて水面に石を堕とす事で波紋と言う隙を作る。さらに当日は警官やマスコミや見物客などの不特定多数の人が来ることで、さらに侵入がしやすくなります。しかしここでさらに深く考え込んでみると、有名な宝石や美術品などは、普通の店では足がつく為売り払えません。裏ルートで海外の金持ちや権力者に渡すか、自身のコレクションとして所持するくらいしか旨味が無い。裏ルートも足元を見られて買い叩かれるし、ここまで手間をかけて所持するくらいなら似たような物をオーダーメイドで発注した方が安く済みます。むしろ美術品にはもれなく保険が掛けられているので、盗まれた美術館には保険が入りしかも話題になる事で客足も増えると良い事尽くめです。もし盗まれた宝飾品が歴史的価値が無く、真否の定かではない見た目が綺麗なだけの代物であったのならば、怪盗と美術館側がグルで共謀していたという事も考えられます。

 っとこの様に状況から必然性を考えて紐解くだけでもなかなかに面白い展開を思いつくことが出来ると思います。皆さんもとりあえず誰か殺してから、いっぱしのトリックを実行して探偵を欺けるよう日々努力していきましょう。

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