よくテンプレート展開は良くない、王道展開はマンネリだと言って、今まで誰も見た事が無いような驚きの物語を作るんだと意気込む方がまま見受けられます。
しかし果たしてテンプレートな展開は良くないのでしょうか? 王道の展開は飽きられてしまっているのでしょうか? その答えを導く為には、テンプレート(定型)や王道な展開とはどのような事を指すのかについて考えましょう。
[テンプレート(定型)]や[王道(ロイヤルロード)]はそれぞれ意味が違いますが、この場においては既知の、あるいは見覚えのある展開と言う意味合いが強いでしょう。テンプレートとは形式や構造が過去の作品から流用されているあるいはインスパイアを受けている。王道は誰でも思いつく様な、安易な展開と言う感じの意味合いがあります。ただそれが悪いのかと言うと一概にそうは言えません。
[テンプレート(定型)]の要素の代表としては、魔法の設定などが有名ですね。ある有名な作品を境に呪文の詠唱から精神力を消費して魔法が発動するという概念が生まれ、いつしかゲームなどの設定が取り込まれ、精神力はMP等の数値、あるいは発動回数として明確になり、呪文の詠唱も簡略化されつつあります。しかし発動の仕方や名称、理論などが違っても過去作の魔法に触れている者には、呪文を唱えて、あるいは魔法陣や印などが結ばれて何らかの技名が表記されたらそれは魔法の発動だという共通認識が起こるわけです。テンプレートを利用する事で設定や説明を大幅に省く事が可能となります。最近ではスキルやレベルなどの要素のテンプレート化して来ましたね。
ではテンプレートのデメリットは何かと言うと、他所から借りてきた要素なので自作品の設定と上手く噛み合わない場合があるという事です。特に何も考えず説明が省けるからとテンプレートを乱用すると、作品が説明不足に成ってしまいます。過去の作品を読んだ事が無い人は全く理解できないという事にもなってしまいます。そしてオリジナリティが欠如しがちです。
[王道(ロイヤルロード)]な展開としては、例えば姫が攫われたり、大臣が悪人だったり、伝説の剣が岩に刺さって居たり、事故に遭って記憶喪失に成ったり、仲間のピンチに隠された力が覚醒したり、野球は9回2アウトからだったり……etc。
大抵はどこかで見た事があるような展開、そして皆が多く目にしていて、故に多くの人に望まれる展開である事が多いのです。王道を抑えて名作無しとはいう物ですが、しかして学問に王道無しと言うように、安易に使っていれば大成できるという物でもありません。利点は多くの人に好まれる展開なので使っても嫌われにくい所です。所謂[お約束]という要素でもあるので押さえておけば読者の受けもよくなります。
デメリットとしては、作品のジャンルによってはお約束の要素が多すぎて自由度が無くなるという処でしょうか。王道を外す邪道という手段は、人によっては受け付けない場合もあります。そして王道な展開ばかりと言うのもまたオリジナリティの欠如に繋がります。オリジナリティの出し方についてはまた別の機会にするとして。
王道やテンプレート展開とは、ある程度読者が予想し期待するストーリーラインでもあります。ある程度はそういった読者の期待に沿った方が、読者も作品を読みやすくなるのでこれらが全く悪と言うわけではないと言えます。しかし上記の通り、頼りきりと言うのも問題で作品のオリジナリティー不足に繋がります。オリジナリティとはその作品の面白さとも言えます。既存の作品から持ってきた要素しかないのであれば、その作品をわざわざ読む必要がなくなってしまう訳です。
皆さんも、締め切り前には田舎の旅館で缶詰状態の最中に、謎の連続殺人事件の容疑者となって事件の捜査を手伝わされるような王道な日々を過ごしつつ執筆に精を出してください。
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