[未来小説]物語作成講座編6 感動導線2

 さて、[感動導線]の解説の続きをしていきましょう。

 さて、人に感動を与える物語を作るというのは非常に難しいものです。その為には、人はどのように感情を動かすのかについて考察する必要があると思います。

 感情が動くと書いて感動と言いますが、感動と言う感覚には、複数の要素が含まれております。

■泣き・喪失・離別・別れ

 失う事は悲しい事です。それまで親しくしていた人や、仲の良い人が居なくなるというのは、心動かされますね。転校や引っ越しならばまだ会える可能性があるので乗り越えられますが。死の別れなどの永遠の離別と言うのはかなりグッときます。その為には本編でなるべく親密な関係を築いていくのがコツです。

■協力・友情・信頼

 苦境や逆境の時に、手を差し伸べてくれる友人や仲間はいいモノです。あるいは濡れ衣や策略によって悪者になった時に、周囲の意見や噂に惑わされず信頼を押せてくれる存在は込み上げてくるものがありますね。

■笑い・幸福・奇蹟

 どんなに不幸でも、どんなに悲惨な状況でも、笑顔を絶やさない胆力には驚嘆させられる物です。あるいは絶望に暮れるような状況に、微かに示される奇蹟などは心に訴えてくるものがありますよね。状況がマイナスであるほどに微かな幸福が涙を誘います。

■不幸・事故・病気

 突然の不幸とは予想出来ない所が厄介です。作品において主人公に幸福な事が連続して起こる事は[ご都合主義]と批判されますが、不幸な事が連続で起こる事に関しては皆寛容です。また幸運な状況下に至り、何不自由しないで暮らしている主人公が突然の事故や不幸で何もかも失うという展開に、皆結構興味を持ってくれます。幸福から不幸への落差が大きいほど、心動かされますね。不幸な出来事はどれほど起こっても読者は気にしないので幸せの絶頂期にある主人公をどんどん不幸な目に合わせて読者を歓喜させましょう。

■決意・覚醒・克服

 究極の選択であったり、解決の難しい問題にはっきりと答えを見出す様は、まさに主人公と言えるでしょう。他にも優柔不断でぱっとしなかった主人公がしっかり一つの目標を見据えたり、苦手だった事柄を克服するといった、心の変化や意思表明と言った場面は読者に強い印象を与えます。

■念願成就・悲願達成

 一つの叶えたい願いがあって、その達成には数々の壁や問題があって、到底達成出来るかは怪しいのに、その問題を一つずつ乗り越えて行って最後に達成した時、それまでの行動を追っていた読者はまさに拍手喝采となるでしょう。安易に達成できる願いではだめです。そして立ち塞がる壁もすぐに突破できるような低い壁ではいけません。最初に目標を提示して、それに向かってひたむきに頑張る主人公は読者に応援され、読者も願いを叶えるまで気になって読み進めてくれます。

■敗北・コンプレックス

 順調に進んでいたのに挫折したり、大敗を期したりと言った展開はなかなか動揺を誘います。ましてその事がトラウマになったり負傷したりと後に響けばなおさらです。全力でぶち当たるからこそ思い通りにいかないという現実に、読者は大きく共感してくれるはずです。

 あるいは過去にそういう出来事があったり、何かしらコンプレックスがある人が、その事に向き合うといった展開は訴えかける物があります。

 ではさらに詳しくは今後語って行く事にしましょう。

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