現世と異界の狭間からこんにちは。本日も小説について色々と語り明かして行きましょう。
前回に引き続き、レベルデザイン考えていきましょう。今回は物語における強さと言う奴です。前回説明したレベルと言う概念は強さを非常に単純化し、数値化した物です。しかしそれでも作中では別の定義の強さを持って数値上の強さをフェイクにする手間がありました。なれば、レベルを使わない強さを元からしっかりと講じれば、おのずと単純化すると思われます。
強さの種類はそれこそ色々とあると思いますが、やはり目に見えて分かりやすいのは筋力。筋肉は見た目にも反映されますし、体がデカければパワーは強いこれ常識。主人公が筋骨隆々で身長も2mほどあれば、誰が見ても強いと感じる事でしょう。まぁ逆にそういう見た目だけど実は喧嘩が弱いとか内心ビビりまくっているとか言うキャラ付けが結構流行っているんですけども。あるいは一昔前なら見た目はひょろっこくて身長もチビだけど、喧嘩がめちゃ強いというキャラ付けもありましたね。筋肉や身長は、ボクシングなどの格闘技の様に厳格に階級で分けない限りは結構すぐにインフレを起こしてしまいます。筋骨隆々な主人公の前に、さらに一回り筋肉の塊の敵を置いてもインパクトが薄いですしね。バトル系ならば、腕力が強いとか、脚力が強くてスピードがとか、投げに特化しているとか戦いのスタイルを変える事で差別化を図ります。中には視力が良くて相手の攻撃を見切ったり、あるいは味覚が良くて戦闘力が上がる食事を作れたりと様々なバトルを演出出来ます。
強さとしては次に、賢さがあります。知は力なりとはよく言った物ですね。まず戦いに成らないように立ち回ったり、いざ戦いになったとしても、その時点で勝利が決まっているような、そんな賢い立ち回りをしたのであればそれはもう強キャラと言えるでしょう。また賢さと言うのは目に見えませんし、また賢いキャラとはなるべく相手を油断させるために賢さを表に出さないので、いよいよ嵌められた時に相手の賢さに気づくわけです。ただし賢いキャラ同士が戦うと、もう頭脳戦となり推理バトルになってしまうのでそれはそれで面白いのですが、ある程度ルールや勝利条件を設けないとグダグダになってしまうので気を付けましょう。また賢いやつの張り巡らせた罠を、バカで単純な奴がフィジカルで乗り切っていくのもまた一興です。
金を持っているやつは強い。金は本人の力そのものではありません。しかし、金を持っていればできる事が多くあるので、その時点でお金を持っていない奴よりは優位に動けます。また武器を買う、人を雇う、賢い人に依頼するなどで自身の弱さを補えます。お金を持つあるいはお金を稼ぐ力と言うのは、強さの一つである訳です。最下層の何も持たない奴隷よりも働いてお金を稼ぐ農民の方が強く、農民に土地を貸して作物の取れ高を受け取る地主の方が強く、また地主から作物を買い取ったり商品を卸したりして経済を回す商人の方が強く、そして商人に商売の権利を与えたり商品を検品したり、入出国の許可を行い管理する貴族や国家の方が強いわけです。こちらは相互に影響し合っているので、そう簡単に関係が覆らないというのも特徴です。農民が強くなりたいからと言って、商人や貴族にいきなりなる事は出来ません。商人になるには商売の知識や計算、交渉が出来る賢さと商いの元になる元金が必要になります。貴族になる為には身分が貴族階級だったり、あるいは何かに秀でていて養子に迎えられるような特別な力が必要になってきます。
そして権力です。よく使われるヨーロッパ風の世界において権力の象徴とされる王族や貴族ですが、皆さんは彼らの力をだいぶ過小評価しています。まず一般市民や商人などの労働者階級とは住む世界が違っており、一般人では滅多に姿を見る事すら適いません。そのくらい雲の上の方々なのです。使用人だとしても、直属の従者か、あるいは統括の執事、家令等の上級使用人しか会う事は許されず、下級の使用人は使用人専用の裏通路や地下を使用して家の主人とは基本的に遭遇しないように配慮されます。よって貴族が使用人に手を出すというのは、全く無い訳ではありませんがまずそもそも主人である貴族は下級使用人とは会う事が無いために手を出す以前にどんな奴が働いているかなど知らないというのが正解です。ならば直接顔を合わす従者ならばと言いますが基本的に従者は同姓が努めますし、上級紙容認ともなると貴族の三男四男、あるいは分家等の身分を持つ者が努めるので手を出してもそれは双方の家の同意のもとでとなる事がほとんど。王族何かの従者はそういった側室候補で貴族の女性が努める事もあったりするので、貴族が使用人に手を出すというのはまずそもそもそういう雇用形態であるか、あるいは両家の同意でそうなる様に仕組まれているという感じでしょう。
ちょっと話がそれましたね。さて、よく物語で横暴な貴族云々と言うくだりを死ぬほど見てきましたが、まぁぶっちゃけそれが貴族という物なので、それはそれでいいのですよね。問題はそれに反抗したり成敗しちゃう権力を持っていない主人公の方です。よくよく全ての人に分け隔てなく門徒が開かれた魔法学園は、平民も貴族も区別なく入学を許すという設定がありますが、まずそんな設定の学校は作れません。特殊な技能を扱う為に専門の学校を建てるまでは出来そうですが、それでも一般人と貴族は学校を分けるべきです。って言うかそんな怪しい学校に貴族は自分の子供をまず通わせません。そんなどこの馬の骨とも分からない連中と知り合ったり、下手したら市民階級の人と付き合うようなことになるくらいならば、屋敷で家庭教師を雇います。ましてや王族何ぞ通う訳が無いでしょう。王族何ぞどうやっても外交の最高の取引材料になるというのに。王族の子孫何ぞは大量に作って、周辺国家の王族と行員を結びまくって親戚となって周辺諸国の平和維持にとても役に立つというのに、何が悲しくて意味の分からん学校なんぞに無駄に通わせねばならんのかと。そんな事をして王子や王女に人権は無いのか―っと叫ぶ世界史弱者の人々が居ると思いますが、歴史的に王族は所謂国家であり人権なんぞは無いのです。また教育の過程でもそういう役割である事を言い聞かせますので、まぁわがままな王子や王女は居たでしょうが、そもそも彼らは国の資産的な扱いなので皆温かく見守るわけです。
さて貴族は法を守らないとか云々も、そもそも貴族は王からある程度の国家運営の裁量を貰って権力を固めているので、それを咎めるのは王族が別の貴族の役割で第三者がどうこう言える問題でもないわけです。貴族が領民を殺したとしても、その貴族の領内では貴族が法なのです。まぁ無暗に領民を殺すと領民が居なくなるので流石に一族の重鎮か、あるいは王から処罰されたり家名剥奪などされて首が挿げ替えられると思いますが。
まぁこの様に強さにもさまざまな種類があるのが分かって貰えたでしょうか。最近の若い作家は強さという事で全部まとめてしまいがちですけども、そもそも質の違う強さには互いに効果が無いという事も理解するべきでしょう。筋肉と言う強さは賢さと言う強さとは同じ土俵で戦えません。またどれほどの筋肉があろうとも、財力や権力に時として負けてしまいますし、どれほど財力があろうとも法を支配している権力に掛かれば、あっという間に財産を差し押さえるなどされて敗北してしまいます。そしてどれほど権力を持っていようとも、一対一で戦う場合においては筋力には勝てないのです。この様に状況や環境、その世界の常識如何によって強さを使いこなしていきましょう。さぁあなたの強さは何でしょうか? それではまた次回。
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