香にも屁にもならない【かやぱん】   第六話『ダイエット』

Novel of forward

  今は飽食の時代ではありますが、当時は今ほど食べ物に溢れているという訳ではありませんでした。しかし子供が飢えるほどの貧困では無かったと思います。なんやかんやで食べ物には困らなかった印象でした。

 天高く馬肥ゆる季節と言いまして。

 そんな折に、友人からある相談が持ち掛けられました。

「ねねぇぇカヤちゃん聞いて!」そう言いながら友人は、熱く蒸されたふかし芋を頬張ります。

「私ダイエットしているの!」

 そう言いながら、美味しそうに蒸かされた熱々の芋をむしゃりと頬張った。

「それなのにね! 全然効果が無いの!!」

 そう言いながら、友人は大きく口をあけて、約250kcolをもぐもぐと租借した。

 何だろう、この違和感は。友人の言っている事は理解出来るのに、眼で見た光景が信じられない。因みに250kcolはちょっときつめのジョギングで何とか消費できるカロリーだ。

 まだ分からない。あまりにもハード過ぎる運動と食事制限で倒れそうなところを急ぎ栄養補給している可能性も無くはない。

「へぇ、どんなダイエットをしているの?」

「えっとね、ダイエット本を買ったでしょ。カロリー控えめのレシピ本買ったでしょ。ダンベルとか器具買って貰ったでしょ……」

 準備だけは万全なご様子。

「実際運動とかはしたの?」

「かやちゃん、そういう先入観は良くないよ! ダイエットイコール運動とか、食事制限とか時代遅れ、今は無理しないダイエットが大事なんだよ!」

 へぇ時代は変わった物だ。

「じゃどういう感じのダイエットをしているの?」

「まず健康な体を維持するのが大事なの、一日に必要な栄養を怠って不健康だと元も子もないでしょ? 運動も散歩とかお風呂の中で出来る低負荷なもので体に負担を掛けない。我慢も良くないからおやつとかも時間をおいて食べていいの! お菓子とかチョコとか甘いお菓子はさすがに控えめにはしているけど、食べる時はしっかり筋トレとかしてるし、夜九時以降は食べなければいいんだよ! 筋肉はエネルギーを消費する元だから、炭水化物はしっかりとってしっかり運動して痩せやすい体質造りをするんだって本に書いてあるんだよ」

 そう言われてみれば、やや平均より肉付きの良い友人のスタイルは、ちょっと引き締まって見えます。

「えい」  思わず友人のお腹に指を突き立ててみます。しかしそこに柔らかいお肉の感触は無く、引き締まったアスリートの様な鋼の感触が指先をはじきます。

「ね? 全然引き締まってるでしょ? なのに体重が減らないの!」

「あー多分、筋肉付いちゃってるかも」

 栄養バランスのとれた食事。頻繁に行う低負荷な運動。即座の栄養補給と激しい筋トレ。そして十分な休息。それらは友人の肉体をアスリートの如く筋肉の鎧に肉体改造するには十分に効率的な要素であった。

「そ、そんな……ここから体重を落とすにはどうしたら?」

 成長期の我々は、体重が増える事は摂理として受け入れるしかない。体重が減るとしたらそれは不健康か病気になるしかない。

 天高く、友肥ゆる秋であった。

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