[未来小説]物語作成講座編5 感動導線

 さて日々物語を書いている皆さんこんにちわ。

 本日はまたも[未来小説]の造語を一つ解説していきます。その名も[感動導線]です。[感動導線]とは、物語において読者を感動に導くためのルート構築を指します。

 まず大前提として、特に何も考えずに物語を書いた場合、読んだ人を感動させる名作になる事は非常に稀です。読者の感情を揺り動かす作品を作る為にはそれなりの仕込みが必要です。

 その仕込みを、[未来小説]では[感動導線]と呼んでおります。これは様々な物語、ストーリー展開において感動させるように物語を修正、テコ入れする事を指しています。

 そもそも物語で読者の心を揺さぶるという事自体結構難易度の高い技術になります。これを狙ってやれるのであればそもそも初心者ではないわけですが。

 そして感情を揺さぶる場合においても、方向性によって難易度が変わってきます。一般的に泣かせる物語が一番簡単で、次いで笑わせる、そして怖がらせる物語が一番難しいと言われております。勿論読者の感情を揺さぶるという手法がだいぶ高難易度の技術であるという事は理解しておいてもらいたいのですが。

 何故泣かせる物語が一番簡単かと言うと、読者をしっかりと感情移入させれれば、主人公及び登場人物に重めな設定や悲しいエピソードを載せるだけで割と感動できる作品にすることが出来るからです。もっとも言うほど容易い事ではありませんが。

 人間は他人の事でも割と共感出来るので、読者を主人公もしくは登場人物に感情移入させて→その人物が悲しむ出来事や泣ける展開を用意する→読者が共感して思わずポロリと行けるわけです。

 次いで難しいのは読者を笑わせる物語。まぁどう難しいかと言うと、一回観客を笑わせる漫才のネタでも書いてみると良いでしょう。どうネタを書いたらいいか分からないでしょう? 笑わせるという事は、読者の存在や反応を想定しなければいけません。登場人物の言動に対して読者はどう感じるか、どう反応を示すか、そういったメタ視点を持てないと読者を笑わせられるような面白い物語を生み出す事は出来ません。

 一番難しいのは怖がらせる事です。だいたい読者は物語を基本的にフィクションとして読みます。その作品内において如何に怖い幽霊や魔物を登場させたところで、読者にとっては所詮文字列でしかありません。登場人物が震え上がったとしても読者は怖がってはくれません。読者を怖がらせるためには、まず登場人物に読者をしっかりと感情移入させることは絶対条件として、もはや主人公が読者自身であると思わせるほどに没入させないといけません。そして風景描写に加えて音や臭いなど、五感に訴えかけたり、その場の雰囲気までもしっかりと描写して読者を物語の中に引き摺り込まなければいけません。そこまで読むのに没頭出来るような作品が作れるならば、もう一人前と言っていいでしょう。

 それでは次回はもっと詳しく[感動導線]について解説していきます。

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