[未来小説] 魔法の世界へご招待だ4

さぁ現世と異界の狭間からこんにちは。本日も世界の真実と虚実について話し合いましょう。

 前回に続いて、魔法について語っていきます。今回は使い方を間違えると世界観を壊してしまう、あるいはそれを使う場合は世界観を弄る必要のある魔法について話していきます。

■死者蘇生/リザレクション

 「――死に誘われし魂よ、我が呼びかけによりて、再び息吹を吹き返したまえ」

 死んだ人間を蘇らせる、回復の最上位に位置する者書生の魔法。RPGゲームではよく登場しますが、この時点でも時折イベントやストーリー上の展開で死んだキャラに、死者蘇生かければ良いじゃんって意見が出たりします。またファンタジー系の物語でもこの魔法は登場する事がありますが、下手をすれば戦う意味そのものすら消失しかねない危険な魔法となっております。そうならない為にも、使用には相応の難易度や条件、あるいは死因や死体の状況などの蘇生できない制限を大量に設定して、あくまで蘇生出来るのは運が良かったという演出にしています。

 もし無尽蔵に誰でも死者蘇生が使える世界となってしまったら、まず戦争や暗殺などが無意味な行いとなります。ある意味で直接的な殺害の意味も無いので強盗や殺人などの犯罪も低下します。しかしそれを平和でいいなぁと思ってはいけません。まず世界に人が溢れ、もし寿命で死んでも蘇生出来るというのであれば、死んでいるのか生きているのか定かでもない人の成れの果てが世界中を闊歩するこの世の終わりとなるでしょう。まともに政府機関が維持できれば良いのですが、食料供給の不足や国民の管理もままならないため国家の維持すら危ういでしょう。過去中国では増え過ぎた国民と国家が推進した農業の失敗で大量の餓死者を出したことがありましたが、この世界では餓死ですら死ねないのです。まぁ何処かで死者の蘇生を止めるという処置を取らないといけないのですが、それは人を殺す事と同義です。まともに人が死なない世界で、人を殺す勇気のある人間など恐らくは居ないでしょう。遅かれ早かれ人類は滅びの道を歩むことでしょう。

 メインキャラも生き返れるからと、死に対する恐怖も無く盛り上がりも無くなってしまいます。そして敵も、どれだけ倒そうが蘇生で蘇ってくるために他争う意味自体が無いですし、話し合って妥協点を探すか、相手の存在そのものを焼失させる徹底抗戦しかなくなってしまいます。実は争うというのは、色々と落としどころの多い決着方法なのかもしれません。せめて使うにしても、肉体が健康である者のみであったり、一人一回だけであったり、あるいは主人公などの一部の物が特別に、しかしそれもリスク有りの便利では無い手法でとデメリットを付加してようやく使えるといった管理が必要と言えましょう。

■空間転移/テレポート

 「目的地を認識、対象座標固定、魔力による空間歪曲展開、理論通行領域構築――飛べ!」

 どんな場所でもひとっ飛び。たとえ火の中水の中、壁の中宝物庫の中であろうと、何処へでも一瞬で飛んでいく。すごく便利であるだけに、能力を制限しないと物語も一瞬で終わってしまいます。例えば魔王を倒したい時、魔王を殺せる威力の爆弾を魔王の元に転送してしまえばそれで終わります。世界中に散った七つの宝玉を集めたいのならば、転移で七回飛べばそれで終了です。はっきり言って強すぎますね。ですので通常は、一度立ち寄った事のある場所にしか転移できない、目視で認識している場所にしか飛べない、転移には高度な集中が必要であり常人では扱えない、設置した特定の場所(ポータル)同士でしか移動が出来ない等のデメリットをこれでもかと添加されるのが普通です。そうでなければ、どの様な展開をしてもそこで何で転移使わないの? っという雑音が常に付きまとう事となります。煩わしいですね。便利すぎる力と言うのは、概ね作品の足を引っ張る物です。過ぎたるは及ばざるが如し。作品の展開に変なヤジを飛ばされたくないのであれば、安易な転移魔法は使用しないに越したことは無いでしょう。

■時間操作/タイムコントロール

 「時の曲がりに鋭角の兆し、不臭と共に猟犬が牙を剥く」

 時間を操作するというのは、明らかに人間の領域を超えた所業であり、それこそ数百年に一度の大儀式とするか、あるいはタイムパラドックス、時間の修正力などのSF設定を用いて影響を極力なくすなどの工夫が必要となります。まぁ大前提としてSF設定なので魔法との相性も悪いでしょう。そもそも時間と言う概念は近代の物で、魔法の世界では昼夜や季節、そして月日などの単位としての認識は神の司る権能であり、時間と言う存在はあまり親しみが無かったと言えます。唯一教会の鐘が時を告げ、日の沈みが一日の終わりを示すのです。下手に手を付ければそれこそ、時の猟犬に食い殺されるでしょう。

■収納魔法/アイテムボックス

「仕方ないなぁ○○くんはー、えーとぱんぱかぱーん、はい○○○○!」

 さて意外に思われるかもしれませんが、なんでもアイテムを収納できる魔法と言うのも、気を付ける必要があります。さてこの収納魔法、外部から中身が丸見えならばセキュリティとしては問題無いのですが。しかし良からぬ使い方をしようと思えば暗殺に密輸に誘拐にとやりたい放題でございます。それを対策するには、収納魔法の禁止令を敷いたり、中身を閲覧する魔法を使用したり、中身を偽装する魔法を看破したり――と犯罪と捜査のいたちごっこが始まってしまいます。初心者は性善説で設定を考えがちですが、この世の基本は性悪説で回っております。一人でも悪人の悪さを許してしまえば、王国や経済が大打撃を被ります。

 生き物は入れられないとか、入れられる要領には個人差があるとか色々と設定次第ではあるでしょうが、街の中央でありったけの海水を取り込んだ収納ボックスを解放したり、あるいは生きたままの魔物を詰め込んで解き放つなどのテロがやり放題なわけです。そんな状況を放っておいて国が安泰とはいきますまい。普通の国家はただちに使用禁止を敷く事でしょう。あるいは事故で周囲に毒を振りまく危険な物質を街に持ち込んでしまう危険もあります。そんな事を使用者の自己判断に委ねるのは愚の骨頂。現代の日本ですら警官に補足された場合ポケットの中身まで検められるというのに、何が入ってるかもわからないエクストラポケットなんぞを誰もが持っている世界の警備員の心労は計り知れません。

 これも上記の通り、便利すぎるが故に安易には使えない魔法となっております。

■超高火力魔法/オーバーマジック

「主よ我が呼びかけに応じよ、其れは天より広がる豊穣、其れは見果てぬ歓喜の音、故に止め処なく白く、故に淀み無く白亜く、故に限りなく無色く、故に何物にも染まらぬ純白い。嗚呼降り注げよ、我らが歓喜、天国の門」

 呪文一つで敵の軍勢を蹂躙し、都市を破壊し国を崩壊させる。これぞ魔法使いの醍醐味。広域殲滅魔法こそ魔法の花形。しかし過剰な火力とは身を亡ぼすものです。拳銃が自己防衛処置としては過剰なように。核兵器が戦争の抑止力としてあまりにも滑稽なように。

 まず何の縛りも無い一人の個人が、軍に匹敵する力を持つ事はあまりにも危険である。それは時折起こる街中での銃乱射事件を見ればわかる通りです。あるいは街中で核兵器ボタンを持っていても意味が無いのと同様でしょう。個人が行使する力としては過剰過ぎるのです。しかるべき所、王家や軍などの暴力抑止機構が、しかるべき力、相手国を攻撃できる広域殲滅魔法を持つ事で交渉なり侵略なりの手段として使えるのです。つまり一個人が巨大な魔法が使えるとしても使い道が無さすぎるわけですね。無暗に魔物相手に使っても地形を変えるほどの攻撃では生態系そのものが消し飛んでしまい、魔物を退治する意味が無くなりますし、財宝や素材も吹き飛ぶでしょう。そんな有様では多方面から非難は免れません。適切な火力を備える事が戦いにおいては重要なのです。敵を殺せればそれで良いという道理は何処の戦場にも存在しません。殲滅し殺すだけならばその土地ごと毒で汚染してしまう等の非道で低コストな手段が多々存在します。よって強過ぎる力は使い所が無く、見せつけるにしても利用価値が低い、主人公が俺こんな凄い力が使えるんだぜと見せつける以外の目的も無いので読者への印象も悪くなります。火力は控えめに、適材適所で、しかし演出は派手に行うのが都合が良い。

 他にも気を付ける魔法があれば次回にでも。

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