[未来小説]異世界ファンタジーこそレベルデザインは必要な要素である 4

 現世と異界の狭間からこんにちは。今回も物語におけるレベルデザインについて考察していこうと思います。

 今回は異世界ファンタジー系でよくよく登場する冒険者ギルドに関するレベルデザインについて語っていきます。そもそもレベルと言う強さの判断基準がある世界で、冒険者ランクと言う別の強さ基準が出てくるというのも不可解な話です。個人にレベルが設定されているならば、レベルにあった依頼を斡旋すればいいだけの話です。まぁしかしこれも以前に述べたようにレベルによる強さが絶対的な強さではないという要素を含んで居れば納得できます。いくら力が強くても、薬草を探す能力が無ければ薬草探しのクエストは達成出来ませんし、適正レベルだからと言って誰でもドラゴンが倒せるとは限りません。つまりギルド側の設定しているランクとは冒険者としての技能や実績を基に算出された貢献度という訳です。例えレベルが1でもたくさんの依頼をこなせば多少はギルドのランクが上がりますし、レベルが高ければそれだけ難易度の高いクエストをこなせるので相応にギルドのランクも高くなります。

 っとはいえ、初心者は他の作品で聞きかじった程度の認識で、あまり綿密に冒険者ギルドの設定をしているようには思えませんね。大体各国に支部を置く国際規模な組織で、魔物の討伐や素材の収集などを登録冒険者に斡旋する仲介業と言う印象です。しかし場合によっては冒険者の地位が一国の王族より高かったり、騎士よりも憧れるなどの謎の機関とされている事が多々ありますが、どう考えても冒険家業の下請けでしかない気がします。現実世界でいう、エベレスト登頂の手続き代行とか、現地まで器材や案内を請け負う案内人、あるいはコロンブスなどの冒険家の援助金や乗組員を集める投資家などのブローカー、そういった職業だと考えております。要するに王族や貴族から個人的な要望や依頼があったっ場合のそれらの依頼を執り行う人材の派遣業務や、大きな事業を起こしたい投資家にそれに見合った技能を持つ人材の募集や派遣と言った感じの業務ですね。当時の商業組合が行っていた商品を仕入れる為の支度金の前貸や損失を補填する保険等の制度の規模から考えると、かなり前衛的な組織していますね。

 冒険者ギルドの参考組織として優秀なのが、某狩りゲーのハ〇ターズギルドですかね。世界各国に組織があり、王族や貴族からの出資や信頼も厚い。何より村や町をモンスターから守るという絶対に必要不可欠な軍隊という要素と、街の人から頼りにされる町奉行の様な中心的な人物と言う側面を持つ事で、非常に奥深く如何にハンターを中心とした世界観が成り立っているかを実感できます。もし知らないという人は是非ともプレイあるいは実況などを見てもらって、ああ、これが求めていた冒険者の姿かと認識していただきたい。

 とは言え全く同じ設定では面白みもありません。しっかりと冒険者として使えそうな要素をしっかりとピックアップしていきましょう。とりあえず、主人公を冒険者にさせる場合は間違いなく世界観の主軸にその冒険者が関わっている必要があります。例えば人類の生息圏外、崖か壁の外には未開の世界が広がって居るとか、人類未踏の深い迷宮が広がっているだとか、あるいは人類の発展に必要不可欠な魔石を手に入れる為に魔物を狩る人材が必要だとか、とにかく国や村と言う安全圏から出て何かしなければいけない理由と、そこで活動を行う人たちを冒険者と呼ぶという設定があれば、何かしらの主軸に成り得ると思われます。あるいは本当に、行政の下働きとして街の環境維持や掃除補修などを請け負う、自警団を兼業する冒険者と言う形も悪くないかもしれません。少なくとも主人公以外の、何十人何百人、あるいは何千人と言う多種多様な冒険者たちの日々の仕事内容を思い描かなければいけません。

 例えば街の産業が農業ならば、農家への手伝いや害獣駆除、商品の出荷の手伝いなどをこなさなければなりません。農業を舐めてはいけません。国家規模で農業を行い輸出で生計を立てるのであれば、農家の子供でを総出にしても人手は足りません。さらに土地も広大となり害獣対策も万全とはいかないでしょう。そしてその商品を出荷するには大規模な輸送隊が必要となります。強盗に襲われるのは何も金銀財宝王族令嬢だけとは限りません。飢餓に飢えた村が、あるいは飢饉に瀕した国が攻め込まないとは限りませんし、戦争になれば敵の穀草地を焼き払うのも戦術として有効です。またどれだけ労力を掛けたとしても最後の出荷に失敗したら、長い年月が全て水泡に帰します。

 街の産業が工業ならば、鉱石等の採掘、加工、加工品の出荷、その補助が冒険者の仕事となります。あるいは野生のゴーレムが生きた鉱石農場として放し飼いにされそれらを収穫するというファンタジーならではの採掘現場となるかもしれませんが。

 回復ポーションを作る為の薬草農場は、薬草の生育に最適になるよう数多の魔法性植物を寄せ植えさせて樹海の様な形態となっている。その上魔力が豊潤な農場は精霊や魔法生物が自然に発生し、並の冒険者でも二の足を踏むような高難易度のダンジョン相当の厳しい場所と化している。そんな中、街の財源として必要な薬草を毎回必要数集めてくる役職を、人々はS級薬草探索者と呼ぶみたいな設定に発展するのも面白いですね。

 ともあれ、レベルが高いからと安易にギルドのランクを高めるのは意味がありません。ギルドのランクとはあくまでもギルドが定めた裁定基準ですので、いくらレベル99だろうと始めて来た人に、いきなりA級クエストを頼むのは間違っています。逆にとりあえず腕試しとして最低ランクの薬草集めやゴブリン討伐を任せてみるというギルドの判断は正しいのです。薬草探しならば失敗しても他の冒険者が達成できますし、うっかり薬草を焼き払っても他の群生地を探し出せばいいだけです。ゴブリン討伐に失敗しても最悪その冒険者は死ぬかもしれませんが、ゴブリンには初心者の装備が渡るだけで別の冒険者の仕事にさほど影響を与えません。しかし逆にドラゴンの討伐に失敗した場合、ドラゴンは警戒して人を近寄らせなくなるばかりか逆上して近くの村や町に襲撃を仕掛けるかもしれません。上級のクエストとは難易度もそうですが、事件性や救急性、失敗した時のリスクが高いなどの総合的な基準で高く設定されている場合がほとんどです。そんな重要な案件を、ふらっとやって来た初見のレベルが高いだけの初心者に任せるわけが無いのです。

 もし冒険者ギルドに主人公を登場させるというのであれば、もう少し冒険者ギルドの運営側としてのまっとうな手続きと言うのを意識してみない事には話になりません。

 あるいは何か近しい組織の構造や運営を参考にするのも良いでしょう。主人公が所属する組織がまともに管理できていないと、そもそもレベルデザインを調整する事すらできなくなります。

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