神(読者)は言った、世(作品)に光(笑い)有れと5

 現世と異世界の狭間からこんにちは。体の半分イマジナリー、貴方の心をインソムニア。本日も執筆の翼羽ばたかせ創造の向こう側へと飛び立っていきましょう。

 前回から笑いの描写について描いて行っておりますが、今回はギャグを書こうとしている人が勘違いしがちな事について注意しようかと思います。

 まず、作者やキャラが楽しんだり、楽しそうにしている様子を描いてもギャグには成らないという事です。楽しい事は書いていて楽しく筆の乗りますが、読者と言う第三者には何にも響きません。作品の雰囲気は確かに良くはなります。キャラクター同士が楽しげにしている様子は読んでいる人を笑顔にはさせますが、読者を笑わせようとするのであれば今一です。笑いは狙って起こさなければそうそう起きません。寒いギャグを連発したり、単発の面白イベントを起こすだけでは駄々滑りするだけで、そのまま作品をつまらなくさせます。特に狙って構成したりせずに、ただ何となく面白そうに作品を作るのはやめましょう。

 狙って笑いを起こすというのは、会話のテンポと、ボケの重ね、そしてタイミングの良い突っ込みを狙って構成していくという事です。またボケを際立たせるための雰囲気づくりも重要です。

 例えば「ねぇねぇ聞いて、ものすっごく怖い話があるんだよ!」と前置きがあれば、誰だって怖い話がこれから話されるんだと身構えます。なのでさらに、部屋を暗くして電気を消して、ろうそくの火を灯す。真っ暗になって妙に物音がはっきりと聞こえてくるような静寂の中、ぼんやりとしたろうそくの火だけが頼りなく手前で揺れている。と怖い話がまさに話されそうな雰囲気を作り出します。

「それでは聞いてください、第一話[宇宙には空気が無い]」「いやそういう怖さ!?」

 と笑いに繋げるのがギャグの基本。しかしここからさらに畳みかければ、より読者の笑いを狙っていけます。「いやそもそも第一話ってこの出オチで何話もあるのかよ!」「そりゃあるよ宇宙は怖い話で一杯さ、第二話[重力が無い]」「いや宇宙の話はもういいよ! どうせあれだろ、次はブラックホールとか来るんだろ?」「ブラックホールはお前だぁぁぁ!!」「お前だぁぁじゃねぇよ!」とホラー系の定番のネタを取り込みつつ笑いに繋げて行きます。

 他にも「いいかこれから俺たちはコンビニ強盗をするぞ!」「そうだね、兄貴はギャンブルで負った借金の返済で、俺は子供を大学に行かせるためにもお金が居るもんね」「理由俺だけクズくない? まぁいい、よしあのコンビニは深夜従業員が一人だから狙いやすい筈だ」と、悪事を働くならばそれなりに緊張感のある様子を演出します。

「いらっしゃいませ」「強盗だ! 手を上げろ!」「そうだ、手を挙げてええっと……14番ください」「普通に買い物すんじゃねぇ! レジを開けろ! 中の金を全部ビニール袋に詰めるんだよ!」「袋は有料になりますけど」「どうしよう兄ちゃん、エコバック持ってる?」「いや払わねぇけど!? ってか店員テメェも普通に客の対応取ってんじゃねぇぞ! おい弟銃を見せつけてやれ!」「あ、でも兄ちゃんこれ弾入ってないよ!?」「言うなよはったりに使えねぇだろ!」「えっとぉ38口径って売ってます?」「20発入りで2000円となっております」「最近のコンビ二は銃の弾も売ってんのかよ! え、ここ日本のコンビニだよね?」とどんどんおかしな方向に話がずれて行くのも面白いですね。

 何もない日常会話よりも、何か特殊なシチュエーションの状況の方が上記のようにギャグのテンポが作りやすいでしょう。他にもやり方は色々とあるので皆さんも日常会話で笑いを取れるよう頑張ってください。

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