現世と異界の狭間からこんにちは。体の半分イマジナリー、貴方の心をインソムニア。それでは本日も執筆について学んでいきましょう、それではテキスト15ページを開いてください。
さて今回も、世界の名作からストーリーラインを読み取っていきましょう。
□起:海の底に住む人魚姫は、嵐で難破した王子様を助け一目惚れしました。
□承:どうしても王子様が忘れられない人魚姫は、魔女に頼んで声と引き換えに人間になる薬を手に入れました。しかし魔女から人間になった後、王子の愛が得られなければ泡となって消えると忠告されます。
□転:人間になって王子様と出会う事に成功した人魚姫でしたが、声を無くしたせいで思いを上手く伝えられず、やがて王子さまは隣国の王女と結婚する事が決まります。
□結:人魚姫の姉妹が、髪と引き換えに魔女から短剣を手に入れて人魚姫に差し出します。この剣で王子を殺せば人魚姫は泡に成らずに済むというのですが、人魚姫はそれを断り泡となって消えてしまいました。
さて世界の名作[人魚姫]ですね。何かを得る為には何かを犠牲にしなければならない。それとも愛を得る事の難しさでしょうか。まぁ内容の真偽はさておいて、この作品のストーリーラインを紐解いていきましょう。
海の底の王女と、陸地の王子という本来出合う事の無い二人が、嵐と言う事故で出会うというのは物語の始動としてはいいですね。こういうボーイミーツガールから様々な物語が始まっていくのです。
そして身分や、立場や種族の違う相手に会う為に努力をするという展開が、積極的な主人公として好感が持てます。やはり目標(夢)に向かって努力していくというのが、好感の持てる主人公の要素の一つです。そしてその為に犠牲をいとわないという覚悟も好かれる要素ですね。優柔不断、主体性が無い、受け身姿勢、そういった軟弱な精神の主人公は読者に嫌われます。主役を張る以上は、ある程度夢に向かって覚悟を決めるべきでしょう。夢に向かって殉ずるくらいの覚悟があってこそ、読者も安心して行く先を見守れるのです。
またチートな能力を得るため(人間になる薬がチートかどうかはさておいて)に、相応の代償とデメリットを設けるというのも重要です。何の代償もデメリットも無く夢が叶ってしまうとありがたみも緊張感も、その先の展開も無くなってしまいます。声を失う事によって王子に近づいてもアプローチする手段を失います。きっと海の底に居たので筆談も出来ないでしょう。さらにデメリットによってデッドorラブという緊張感ある展開に持って行っています。これはキャラクターに異能やチート能力を付与する上で是非とも参考にしましょう。[新たな力を手に入れる代わりに今持っている力を何か失う]、[その力を使う場合、○○できなければ命を失う]過剰なデメリットに思うかもしれませんが、このくらいの制約ならば大抵のチート能力ならば読者も許してくれるでしょう。しかも彼女は声を代償に、命を懸けているんですよ。しかもただの[人間]になる為に。むしろ言葉も話せないというデメリットを負った人間ですよ、それまで大海を自由に泳ぎ回って居た人魚のお姫様が。現代的な設定で行くなら、勇者Lv.99から魔法もスキルも使えないゴブリンLv.1になる様な物ですね。その上で人間の王様を殺せなかったら泡となって消えるという呪いを付与されたようなものです。とんだクソゲーです。
愛とは人(人魚)をこうも狂わせるんでしょうか。もしかしたら魔女は重いデメリットを付与する事で人魚姫を思いとどまらせようとしたのかもしれません。人魚姫の姉妹に髪(対して重くない代償)と引き換えに、短剣(解呪効果付き)を与えた事でもその思いが伺えます。
結局、人魚姫は王子の愛を手に入れられず泡となって消えてしまいます。まぁ流石に、多少見た目が良かっただろうと、言葉も話せない身元不明の女性が一国の王子と恋仲になるなんて無理な話なのです。そもそも現実的な話をするならば、王子は自由恋愛できる立場ではありません。だから側室と言う制度があるのです。あるいは人魚姫の方から、自身が居る事で王子が立場よりも自分の事を取らないように身を引いたのかもしれません。王子が身元不明の女性と一緒になるよりも、隣国の姫と結婚した方が国益に繋がるので、国をそして王子を思ってあえて泡となって消える事を選んだのかもしれません。
そしてきっと彼女の最後は、笑顔であったと思われます。住むべき世界の違う二人が、一時とは言え一緒の時間を過ごせたのですから。何だったら逆パターンで王子が人魚の世界に行くパターンも考えてみると面白いかもしれませんね。
皆さんも、夢を叶える為のアイテム・能力ならば今ある何を犠牲にして手に入れますか? そしてその夢は命を懸けるに値するでしょうか? 出来ればそんな覚悟が決まるような夢を、泡となる前に見つけられたら幸せですね。
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