香にも屁にもならない【かやぱん】   第八話『遅刻』

Novel of forward

  大人になると、何もせずにゴロゴロと過ごす休日が、贅沢に感じます。でも子供の頃は何かしないではいられない焦燥感に駆られる日々を過ごしていました。

 特に休みの日は何かしていないと損をするような心持で、いつもどこかに出かける算段をしていたと思います。あの日も、数人の友達と出かける予定を立てていて。

「まずいよカヤちゃん、走ったくらいじゃ全然間に合わないよ」

 隣を並走している友人が、焦った様子で話しかけてきます。

「やっぱり朝のアニメを一通り見て朝食お代わりしたら、時間が足りなくなったね」

 子供の頃はやりたい事がいっぱいあり過ぎて、いつも時間が足りなくなってしまいます。しばらく駅までの道を走って居ましたが、お互いに走る速度が次第に遅くなっていきます。ほとんど歩くような速さになった処で、おもむろに私は口を開きました。

「もう間に合わないから、焦るのは止めよう」

「ええー、でも皆を待たせるのは悪いよー」

 あの頃はまだ、スマホといった便利な機器を子供が持ち歩くような時代ではありませんでした。

「じゃぁ何か遅刻の言い訳を考えよう」

 勿論正直に、時間にルーズな生活をしていたので出かける時間が遅れましたと言うつもりはありません。ある程度非難されないような言い訳を考えるつもりです。

「定番だけど、倒れているおばあさんを助けていたとか?」

 友人の提案に私は首を振ります。

「そういった大事に成りそうな内容は避けた方がいい、おばあさんを連れて病院に連れて行ったらもっと到着時間は遅れる」

「そっか、どこの病院とか聞かれても困るもんね」

「かといって、あまりにも些細な事だと怒られる」

「え、じゃぁ電車が黒ずくめのテロリストに占拠されたとかどう?」

「ニュースになるようなのはまずい」

 あまり大事なのもよろしくはない。

「えっと、空にUFOが落ちてきて」

「現実味が無さ過ぎるのもちょっと」

 大事に成らず、しかして関心をまったく惹かない話題もよろしくない。その時私はふと思いついた。

「そうだ猫を拾った事にしよう」

「そっか、それならしょうがないって言って貰えるね!」

「動物病院にでも預けて来たとか言えば、時間的にも辻褄がある」

「でも、その後で猫をどうするのか決めとかないと、動物病院に預けてきた猫が可愛そうだよ」

「あのね、その猫は現実には存在しないんだよ、でも色々聞かれた時の為に猫をどうするつもりかは考えておいた方がいいかも」

「流石に親に連絡入れないとね、私達に捕まるくらいだから病気にかかって居るかも。猫用のケージも必要だよね? ああ、お金どうしよう!?

「あのね、その猫は現実に存在しないんだよ?」

 その後他の友達とは無事に合流して目いっぱい楽しく遊びました。そして後日友達が。

「あのね、あの猫妊娠してたって! 子猫が生まれたって連絡が」

「現実に存在しない猫だよね?」

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